前世戦士の映画日誌

前世が戦士らしい女が映画を観て色々吐き出します 生態日誌です

『グラディエーター』死んで欲しけりゃこんな上司であってくれ

f:id:sinok_b:20201212224643j:plain

いいですよねえ、この映画。
主人公マキシマスが、戦いの前にこう言うの。

「共に闘えば生き残れる。いいな?」

一度でいいから、こんなこと言ってくれて、なおかつ、本当に生き残らせてくれる上司の下で働きたい

ブレードランナー」の巨匠リドリー・スコットが、古代ローマを舞台に復讐に燃える剣闘士の壮絶な闘いを描き、第73回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞など5部門に輝いた歴史スペクタクル。古代ローマの皇帝アウレリウスは、信頼を寄せる将軍マキシマスに次期皇帝の座を譲ろうと考えていた。それを知った野心家の王子コモドゥスは父を殺して玉座を奪い、マキシマスに死刑を宣告。マキシマスは故郷へ逃れるが、コモドゥスの手下に妻子を殺されてしまう。絶望の中、奴隷に身を落としたマキシマスはやがて剣闘士として名を上げ、闘技場で死闘を繰り返しながらコモドゥスへの復讐の機会を狙う。主人公マキシマスをラッセル・クロウ、宿敵コモドゥスホアキン・フェニックスがそれぞれ演じた。(映画.comより)

 先日、同僚と電話で話してたら、なんだか急に観たくなったんですよ、『グラディエーター』。
何度見ても、リドリー・スコットが大金かけて狂ったように作りこんだ戦闘シーンの数々が最高*1
映画館で初めて観たとき、冒頭で「ローマの重装歩兵だーーっ‼」と半泣きになったのを思い出す。
ぶっちゃけ、ストーリーより感動した、なんてリドリー・スコットには、ヒ・ミ・ツ

その冒頭のゲルマニアでの戦闘と、中盤でのカルタゴ戦争を模したコロッセオでの戦闘シーンは、脳内再生できるほど、好きで好きで好きで好きで。

「ここで側面から……来たーーーーっ!」(握りこぶし)
「ギリギリまで耐えて耐えて……今だーーーーっ!」(身悶え)

毎度、こんな感じです、私。
だって、ホントに鮮やかなんですよ、マキシマスの将軍っぷりが。
ゲルマニアでは精鋭を率いて計算されつくした戦術を展開、コロッセオでは瞬時に状況判断し、剣闘士たちの指揮をする。
マキシマス、生まれながらの指揮官ですよ。

だからかなー、私の回りで『グラディエーター』が好きだという人たちは、異口同音に「主人公が好き」っていうのよね。
生きざまがーとか、男らしさがーとか、色々理由は言ってましたけど、改めて今回思い至ったのが、その「好き」には、「こんな上司が欲しい」という、切実な思いが多分にあるんじゃなかろーかと

私、会社員生活20年以上になりますが、「俺の言うとおりにしろ」タイプの責任者についていった部下が、無事だったところを見たことがない。
業務上、自分の上司以外にもかなりの人数見てきましたが、このタイプが責任者の場合、ほぼ間違いなく部下が苦労しています。
個人の能力として、仕事自体はデキる人が多いんですよ。でも、仕事のことだけ。
グラディエーター』でいえば、剣闘士としての能力だけが高い人なんです。

あの、売り上げのためとか会社のためとか理想のためとか、そればっかりを金科玉条のごとく掲げて、ひたすら部下を働かせる上司って、例え明確なパワハラ行為が無かったとしても、働いてて何だか不安になりません?

うちの部長がですね、ものすごーく頭のいい人なんですが、体力と気力と時間軸を無視して、仕事を部下に振ってくるんですよ。
別に死ぬ気で働けとか休むな馬鹿野郎とか、そういうことは言いません(頭いいから)。仕事の指示も明確で、言ってることは間違ってないんです(頭いいから)。

ただ、ぶっこむ仕事量が、人間の処理能力をオーバーしてるんですわ。
自慢じゃないけど、うちの課は他部署から褒められるほど優秀です。でも、無理なの、物理的に。
それなのに部長、仕事の進捗が悪いと気づくと、こう言うんです。
「そんなんでいいの?」
……なんでしょうかね、この、湧き上がる感情は。

マキシマスを見ているとつくづく思うんですが、部下に「この人のためなら死んでもいい」と思わせる上官は、実は部下が死なないように戦わせる人なんですよね。しかも、もちろん結果も出す。
会社は軍隊じゃないから命は懸けませんが、普段から色々気にかけてくれる上司で、かつ評価もしてもらっていれば、いざって時には深夜残業だって休日出勤だって頑張ろう!なんて思えるんですよ*2

ごめんなさい。
実は、マキシマスが好きだと言ってた「私の周り」って、うちの課長と同僚たちです
少ないサンプルを、さも多数派の意見のように書いてしまい、本当にすみません。
でも、数は少ないけれど、思いの深さは底なしだから、許していただけないでしょうか。

ちなみにもちろん、私も好きです、マキシマス

 

*1:メイキング映像を観るとわかるけど、CGが山のように使われてはいるんだが、実写とセットと動物(人類含む)でやりきった部分が想像以上に多すぎて、スゴイを通り越して怖くなる。さすが、製作費1億ドル超え(20年前よ)。

*2:わかってます。いまどき、そんな上司であってもブラックだ!と言われかねませんよね。例えが昭和の価値観から脱却しきれてない世代ですみません。