前世戦士の映画日誌

前世が戦士らしい女が映画を観て色々吐き出します 生態日誌です

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』3Dテレビに踊ったあの日を思い出す(ネタバレなし)

アバター』と聞くたび思い出す。
あれは蜃気楼よりも儚く消えた、家電業界の輝かしい未来。
その名を「3Dテレビ」という。

はい。私、前職では家電メーカーに勤めてました。

ジェームズ・キャメロン監督が革新的な3D映像を生み出し、全世界興行収入歴代1位の大ヒット作となった「アバター」の約13年ぶりとなる続編。前作から約10年が経過した世界で、新たな物語が紡がれる。

地球からはるか彼方の神秘の星パンドラ。元海兵隊員のジェイクはパンドラの一員となり、先住民ナヴィの女性ネイティリと結ばれた。2人は家族を築き、子どもたちと平和に暮らしていたが、再び人類がパンドラに現れたことで、その生活は一変する。神聖な森を追われたジェイクとその一家は、未知なる海の部族のもとへ身を寄せることになる。しかし、その美しい海辺の楽園にも侵略の手が迫っていた。

ジェイク役のサム・ワーシントン、ネイティリ役のゾーイ・サルダナらおなじみのキャストが続投し、前作でグレイス・オーガスティン博士役を務めたシガニー・ウィーバーが、今作ではジェイクの養子キリ役をモーションキャプチャーによって演じている。

2022年製作/192分/G/アメリ
原題:Avatar: The Way of Water
配給:ディズニー

前作を遥かに超えるキャメロン渾身の『アバター:WoW』*1なので、敬意を表してIMAX3Dを観てきました。
正直に言えば、もしこの映画を2Dやテレビで観ていたら、多分私は飽きて寝てます

なぜかといえば、映画の半分はパンドラの自然やナヴィたちの生活を延々映しているだけだからです。だから3時間超えの尺になったのか。
この『アバター:WoW』、ほぼドキュメンタリー映画です。パンドラ版の『プラネットアース』か『ホットスポット 最後の楽園です。*2
物語部分はシンプルでどっかでみたようなド定番なんで、この大自然堪能シーンをもっとカットすれば、多分2時間の尺に収まるんじゃないかと思います。

でもなー、その2時間の尺におさまった『アバター:WoW』なんて、ちっとも面白くないだろうなと思います。ついでに言えば、2Dで観ても今一つだと思います。
だって基本のストーリー以上に、パンドラの映像含めて一つの作品になっているから。とにかく3D映像のレベルが前作と段違い。
完全に映画の中に入り込んだような感覚に加え、動物や水はその質感まで感じるような映像で、それに目を奪われていたら3時間なんかあっという間ですよ。物語自体はシンプルで、ちょいとばかりいつかどこかで何度も見たような定番の展開ですからね(くどい)、主役は映像なんですよ。

 

しかし、つくづく思い知りました。
こんな映像を家庭用テレビごときで再現しようなんて、おこがましい話なんですよ。
なにせ、キャメロンは『アバター』に24億ドル、WoWには40億ドル、日本円でいまのレートだと500億を軽く超える製作費をつぎ込んでるんですよ。
そんなもんを、いかに高くても数十万で変える程度のテレビで再現しようだなんて、誰が思いついたんだよ、責任者出て来いよ。

前作『アバター』後に、家電メーカーは「これからは3Dの時代だ!」と、鼻息荒く3Dテレビを作りまくったものでした。
当時はまだテレビは家電の主役の座にいたのものの、そろそろ機能は出尽くした感がありました。そんなところに現れた3Dです。大昔の「飛び出す映画」とは格が違います。これはいける!と勘違いしたのも仕方ありません。

そして、私の会社は……もとい、家電業界は3Dテレビに踊りに踊ったわけですよ。3Dを家庭の標準にしようとして......。
ああ色々やったなあ。
あんなキャンペーン、こんなキャンペーン。
体感コーナーとか頑張って作ってたよねー……。
でも売れてたのは、ほんの数年、いや、ぶっちゃけ1~2年のこと。
結局テレビ全体の販売をけん引するほどにはならなくて、10年もせずにフェードアウトしたのです。

今でも思う。
キャメロンが『アバター』を作りさえしなければ、あの会社は3Dテレビに走って迷走することはなかったんじゃないかって。
って、ああ、もうあの会社辞めて半年以上経ったってのに、まだ思い出すとブルーな気分に....。

アバター』好きです。『アバター:WoW』も実によかった。
でもね、観ればどうしても思い出してしまう3Dテレビ。
WoWが公開された今このご時世、いったいどこのご家庭であの鬱陶しい専用眼鏡をかけて3Dテレビを観ているというだろう
もし観てるよという人がいたら、元メーカーとして感謝した方がいいのかどうなのか、なんだか複雑な気分です。

ちなみに、私は3Dテレビ、買ってません。

 

2023/01/18追記

中学時代の担任が「自宅で『アバター』を3D眼鏡かけて観てます」とSNSに投稿していました。ますますさ微妙な気分です。


じゃじゃーん!ブログに書ききれなかったことををつぶやくPodcastを始めてみました。
続けられるかどうか不明ですが、とりあえずやってみよー!の精神です。

*1:あちこちの記事に出てくる「WoW」ってなんのこっちゃと思っていたんですが、「Way of Water」の略なんですね。私以外にも気づいていない人はいるんだろうか。

*2:プラネットアース』はBBCが、『ホットスポット 最後の楽園』はNHKが作った大自然ドキュメンタリー。実在するのにファンタジーにしか思えない自然が観られる