前世戦士の映画日誌

前世が戦士らしい女が映画を観て色々吐き出します 生態日誌です

『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』ヒーローとは諦めが悪いことをいうんじゃないかと思う(若干ネタバレ)


クリス・パインという人は、微妙に私の好みから外れた顔なんです(おい)。
大好きな今は亡きポール・ウォーカーと似てる気もしないでもないんですが、全体的に顔つきが私の好みより緩いんですね(失礼にもほどがある)。
でもこの人、ここ最近見る度にイイ男になってきて、なんだかお姉さん困るわー。

ワンダーウーマン』を撮ったパティ・ジェンキンス監督が絶賛してました。ワンダーウーマンを支えるスティーブ役のキャスティングが難航する中、快く受けたのがクリス・パインだったと。女性の方が強い映画で脇に回る役側を引き受ける、知名度のある男性俳優がなかなか見つからなかったらしい。
映画を観れば、ワンダーウーマンの永遠の恋人になるという美味しい役だと思うんですが、皆さん、ちゃんと脚本読んで断ったんですかね。
なにせ、それまでクリス・パインなんて子犬としか思ってなかった私が、一気にクリス・パイン推しになったぐらいですからね。

1974年にテーブルトークRPGとして発売され、世界初のロールプレイングゲームとしても知られる「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を新たに映画化したアクションファンタジー。主演を「スター・トレック」「ワンダーウーマン」シリーズのクリス・パインが務めた。

さまざまな種族やモンスターが生息する世界、フォーゴトン・レルム。盗賊のエドガンと相棒の戦士ホルガは、ある目的のために旅に出る。これまでにもさまざまな修羅場をくぐり抜けてきた彼らだったが、今回の冒険は一筋縄ではいきそうにない。そこで、魔法使いサイモンとドルイドのドリック、聖騎士のゼンクを仲間に加え、パーティを組む。ダンジョンに立ちはだかる困難や手ごわい敵の数々、そして高難度のクエストを乗り越えていくうちに、彼らは全世界を脅かす巨大な悪の陰謀に対峙することになる。

盗賊エドガンをクリス・パイン、相棒のホルガを「ワイルド・スピード」シリーズのミシェル・ロドリゲスが演じ、彼らとパーティを組むサイモンをジャスティス・スミス、ドリックをソフィア・リリス、ゼンクをレゲ=ジャン・ペイジが演じる。また、イギリスの人気俳優ヒュー・グラントも参戦。

2023年製作/134分/G/アメリ
原題:Dungeons & Dragons: Honor Among Thieves
配給:東和ピクチャーズ

映画.comより

そんなクリスが出ているこの映画。私、ゲームの方はまったく知らないのですが、まあ普通は剣をふるってアクションすると思うじゃないですか。
ところがどっこい、クリスのアクションなんか、これっぽっちも頭に残らない。いやそもそもアクションシーンってありましたっけ?
走り回ったりはしてた気がするけれど、ちっとも力強いところが思い出せないのです。

もっぱら戦闘は次世代のミシェル姐さんことミシェル・ロドリゲスに丸投げ。
ちなみに今回のミシェルは腕っ節最強ですよ!
世界中の老若男女が彼女に抱かれたくて列を成しますよ!
もうドムなんか捨てちまえよ!(映画が違う)

ミシェル筆頭に、実はこの映画では力で物事解決するのは、もっぱら女性陣なんですね。戦闘担当はミシェル演じるホルガと動物に変身できるドリックで、どちらも女性。
ドリックはミシェル・リリスが演じてるんで、小柄で可愛らしいんですが、とんでも野獣に変身してなかなか暴力的でやっぱり可愛いです。
敵役の魔女も女性、監獄の判事(?)にも女性、とにかく女性が重要な役回りでたくさん起用されています。

ならば男性陣はというと。
騎士?戦士?(パンフレットが無いのでイマイチ分かってない)は一応一人出ていて、レゲ=ジャン・ペイジが端正な顔にとろけるような色気を纏い、アクションにも華がある。普通のファンタジーなら、多分この人が主役。
もう一人は魔法使いなんですがイマイチ腕が悪い。でもそんな彼が実は。。。。という背景があって、見事覚醒する。これも、普通なら主人公あるある展開ですよね。

なのに、クリス演じるエドガンにはその設定はいっさいない。
彼は妻を失くして傷心のシングルファーザーだってだけ。同居しているホルガは恋人ではなくて、恋愛要素もゼロ。腕っ節は並み、魔法できない、変身できない。
じゃあエドガンの存在意義って何なんだよ!?と思うでしょ?

彼はね、諦めないんです。

はい、そこ!
ポカンとした顔しない!
こっちは真剣にモノを言ってんだからね!
(最近このパターン多いな)

この映画で彼がーヒーロー足り得るのはここなんですよ。
エドガンは失敗しても諦めない。
しつこくて仲間が怒り出すほど、諦めが悪い。
続ける努力は才能だといいますが、ナチュラルに諦めないというのもなかなか稀有な才能です。ちなみに私は意外にさっさと諦めます(見切りをつけるとも言う)。

このエドガンという男、諦めが悪いこと以外の才能が、ほぼない(笑)。
でも「諦めない」普通の男が普通のままにヒーローやってるこの映画は、全米であの『ジョン・ウィック4』を抑えて興行成績1位なんだそうです。

確かに『ジョン・ウィック』と違って家族連れが観に行けるレイティングだってことは大きなアドバンテージですし、『ジョン・ウィック』を観る客は多分この映画も観に行ってるからでしょうが、それにしてもすごい。
登場人物の多様性が、性別だけでなく彼らの能力にまで及んで、しかもその中で主人公がもっとも私たちと同じ普通の人だということが、とてもとても受けたんだと思います。(いつになく真面目)

あれ?
そういえば、ジョン・ウィックもいっさい諦めないし、亡くした妻を想い続けている人だったわ。

諦めが悪くて愛情深い男やもめの映画が全米で1,2位だと思うと、まだまだアメリカも捨てたもんじゃないなと思うのでした。