前世戦士の映画日誌

前世が戦士らしい女が映画を観て色々吐き出します 生態日誌です

『タイタニック』ディカプリオのことは見なかったことにした(ネタバレあり)

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実は、嫌いだったんですよ、『タイタニック
上流階級の美女と貧乏画家の美男が、豪華客船で恋に落ちて、その客船が沈没して男は女を守って死んだって話に、ときめくかって言われても、「いや、ときめかない」としか答えようがない。
パニック映画としては面白いけど、恋愛映画って……。

そもそも、私の好きな恋愛映画って『羊たちの沈黙』なんですよ*1
障害のある恋愛話は嫌いじゃないんですが、人食い殺人鬼とFBIぐらいの差がないと、ちょっと物足りないし。
当時は「嫌い」って言うと、女性陣から総攻撃でした。特に会社の先輩方から。
「あんたってそういうところあるよね」
なんて言われたりして。
そういうところって、どういうところなのか、私にはいまだにわからないんですが

北大西洋上で氷山に衝突し、20世紀最大の海難事故となった豪華客船タイタニック号の悲劇を、ラヴ・ストーリーの要素を交じえて描いたスペクタクル超大作。ほぼ原寸大に再現されたタイタニック号をはじめ、総製作費2億ドルという巨費を投じたゴージャスな雰囲気が見どころ。監督・脚本は「ターミネーター2」「トゥルーライズ」のジェームズ・キャメロン。SFXはキャメロン自身が設立した特撮工房のデジタル・ドメインがあたった。製作はキャメロンと「トゥルーライズ」のジョン・ランドー。(途中略)主演は「ロミオ&ジュリエット」のレオナルド・ディカプリオと「日蔭のふたり」のケイト・ウィンスレット。(映画.comより)

なので、映画館で観たっきり、ただの一度もマトモに見返したことがなかったんです。ところがこのところ、何故かジェームズ・キャメロンのことをつらつら考えていたところに、CATVで放送されていたものだから、ホントに20年ぶりに観ました。最初から最後まで。
で、気づいたの。
この映画、レオナルド・ディカプリオを忘れりゃ、面白い

美形すぎだわ、あの頃のディカプリオ。
サラサラの金髪、青い瞳、白い肌、なによりあの線の細さ。おとぎ話の王子様みたいで、乙女心に直撃ですよ。
しかもディカプリオ演じるジャックって、芸術家肌でピュアで少年っぽいところもあるから、母性愛も刺激されるわけですよ。もうこれ、女性陣はメロメロですわな。
なにせうちの母親(当時65歳くらい)も、感想が「男の子がキレイだった」だったもんなあ。

でもディカプリオのことを、ちょっと脇においといて見てくださいよ。
パニック物でヒーローが画家って、なんだそりゃ。
普通は軍人か元軍人か、せめて水夫にしてくれよ!(アクション映画の観すぎ)

しかも、全体通して体張ってるのは、意外にケイト・ウィンスレット演じるローズの方が多いんですよね。しかもあの動きづらいドレス。並みの身体能力じゃないぞ、あれ。
それに、度胸の方も一級品です。救命ボートから船に飛び移るとことか。
ローズ、よくよくみると、めちゃめちゃカッコいい。

そう。ローズには、元々この大事故を自力で生き延びるだけの力があったんだなと。
ローズは最初こそ、運命に流されるままの現状を嘆くばかりなんですが、ジャックとの出会いを通して、自分が本来持っていた強さに気づいていく。

ローズって、実は恋愛って意味で、ジャックを愛したわけじゃないと思うんですよ。
彼女にとって、ジャックは彼女を目覚めさせた、天使とか精霊とか妖精みたいなもんなんです。
だから、乗客名簿には彼の名前がない。実在したのかどうかも、誰にもわからない。
でもローズの心の中にはずっとジャックがいて、生きる力となっている。

ラストで、ローズが死んでしまったジャックを海に沈めてしまうシーンは、ローズひどい!って人も結構いました。
当時付き合ってた彼も怒ってましたね。命懸けで助けてくれた男に、あの仕打ちかよって。
でも、これを恋愛物語と捉えず、一人の女性が、他人に決められた人生から解放されて、自立していく話だと思ってみてくださいよ。
人生これからって時に、死んだ男にかまけて救助を逃すわけがないだろう

そう気づいたら、私、この映画わりと好きになりましたし、ちょっとね、今ちょっと、仕事のこととか人生後半戦どうするかとか、悩み多い時期なだけに、なかなか勇気づけられもしました。
ですから、私にとっての『タイタニック』は恋愛映画ではなく、女性の自立物語なんですね。

だからやっぱり、一番好きな恋愛映画は『羊たちの沈黙』です

 

 

*1:連続殺人鬼を、FBI候補生のクラリスが、獄中の人食い殺人鬼ハンニバル博士の協力を得て捕まえる話。ハンニバル博士のクラリスに対する歪みまくった感情に、高校生の私はドキドキしたものです。