前世戦士の映画日誌

前世が戦士らしい女が映画を観て色々吐き出します 生態日誌です

『ザ・グリード』誰かスティーヴン・ソマーズに映画を撮らせて下さい

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久々なところにいきなりですが、この映画、私の中では色んなベストにランキングされています。
映画としてもベスト10といいませんが、ベスト15には入ります。
そして邦題ランキング、チャッチコピーランキングは間違いなく1位です。誰が考えたのか存じませんが、邦題とキャッチを考えた方は心底尊敬しています。

ザ・グリード』、信じがたいことに邦題です。グリード=貪欲。うん、そのまんまの映画です。問題なし。
一方で、原題「Deep Rising」は意味不明です。無理やり意訳すると、なんだろ「深海から現れるもの」?
なんですかね、製作者より日本の配給の方が映画のポイントを抑えているというこの奇跡

そして映画宣伝のお手本と思われるキャッチコピー「喰って喰って喰いまくれ!」
写真も貼ってますが、これ、いまだに忘れられません。
映画館でこの予告編観た時、即座にタイトルと公開日をメモった自分(当時の習慣。スマホとか無かったし)。この予告編を知って観るかどうかで、この映画への評価って変わると思うのです。

だって本当に、怪物が人間を喰って喰って喰いまくってるだけの映画なんだもん。
本当にそればっかりなんですもん。
それ以外に何もないんですもん。

……素晴らしいじゃないですか、真っ正直で!

このキャッチコピーのお陰で、こちらの期待値は喰いまくるとこにだけ集中し、それ以外の雑さが全く目に入らない
多分、冷静になれば突っ込みどころしかないはずの映画です。でも私には何度観ても全ての粗が吹っ飛ぶ清々しさしか感じません。
なんとも潔い映画。
完璧です。
大傑作です。

海に浮かぶ豪華客船を舞台に、未知の巨大モンスターが大暴れするSFパニック。監督・脚本は『ハックフィンの冒険』(日本未公開)のスティーヴン・ソマーズ。撮影は「バッド・ボーイズ」のハワード・アサートン。音楽は「L.A.コンフィデンシャル」の巨匠ジェリー・ゴールドスミス。クリーチャーデザインは「トータル・リコール」でアカデミー視覚効果賞を獲得したロブ・ボッティン。視覚効果は「アビス」のドリームクエスト・イメージズ社と「ディープ・インパクト」のインダストリアル・ライト・アンド・マジック社が担当。出演は「プリンス・オブ・シティ」のトリート・ウィリアムズ、「ゴールデンアイ」のファムケ・ヤンセンほか。

1998年製作/107分/アメリ
原題:Deep Rising
配給:東宝東和

(映画.comより)

そういうわけで、相変わらず震えがくるほど楽しんだのですが、今回、多分初めて出てる俳優に気づきました(おい)

20年以上前の映画なんで、いまはそれなりに活躍している俳優が、非常に雑な扱いだったんですね。

ジャイモン・フンスーが、ろくに銃も撃たず一瞬で死亡ですよ(しかも勘違いで殺される)。今じゃあり得ないでしょう?
すっかり名脇役となったクリフ・カーティスだって、速攻補食です。
この映画の軽~いファムケ・ヤンセンを観て、後のジーン・グレイを想像できる人がおりますか?
一方で、今も昔もほとんど立ち位置が変わらないジェイソン・フレミングにほっこりしたりもしますが。

みんなここからステップアップしてきたんだなあ~としみじみ思う。まあ、観てるこっちも年取ったからって訳なんですが。

でもね。そもそもこの映画を作った、スティーヴン・ソマーズ監督、どこ行ったのよ。いや~、人に言うとバカにされるんであまり言わないんですが、わりと好きなんですよ、スティーヴン・ソマーズ

あ、いま、ヤツの過去作知ってる人が全員背を向けようとしている!
待って!待ってお願い!
もうちょっとだけ話聞いて!

私のソマーズに対するイメージは、とにかく「過剰にいっぱい」

ザ・グリード』は怪物の口(触手?)がいっぱい。被害者の数もいっぱい。

ハムナプトラ』シリーズは砂とミイラとサソリがいっぱい。

ヴァン・ヘルシング』はコウモリがいっぱい。

『GIジョー』は金物がいっ…ぱい? 

とにかくこの人、B級低能な設定を数でぶっ飛ばす映画を作らせれば最高です。アラに気付かれる前に観客の意識を量と勢いで持っていっちゃう天才なんです。
なのに、最近はとんとお見かけしない。

私ですね、ソマーズは『GIジョー』を撮らなければ、まだなんとかなったんじゃないかと思ってます。

「量と勢い」しか持ち味のない人に 、『GIジョー』なんてキャラ設定が大事な映画なんか作らせちゃダメなの。
ヴァン・ヘルシング』のちょい凝りめの設定ですらヤバかったのに、『GIジョー』なんてありもの世界設定とか無理だろ。
止めろよ、誰か。


最近何してるんだか、IMDbでもよーわからんし。でも好きなのよ。なんか彼の新作観たいのよ。
あれとかどうだろ、アサイラムの『シャークネード』シリーズのリブートとか。
サメをとにかくいっぱいいーーーーっぱい出してぐるんぐるん飛ばして山ほど人が食われるの。たぶん、本家よりサメ描写スゴいわよ。

一方で、ソマーズ自身はダメだけど、この人の映画に出た人って結構出世していってるのね。
さっき上げた『ザ・グリード』に出てる皆さんはもちろん、『ハムナプトラ2』の下半身サソリのロック様が、今やドュエイン・ジョンソンとして世界一稼ぐ俳優になるなんて、誰が思ってたかってのよ。

で、思ったのです。
ソマーズって、次世代スター俳優の踏み台なの。
踏み台監督。

ということはさ、やっぱり今後の若手のためにも、あなたはサメ映画かピラニア映画か、私ごときの想像力では及ばない何かをたくさん出してじゃんじゃん人が喰われたり殺されたりする映画を撮らなきゃダメなのよ。

そう、将来のスターを産むために、スティーヴン・ソマーズは映画を作ってもらわなきゃならない。

映画界のみなさーん!
スティーヴン・ソマーズにどうか映画を作らせてください!
しょっぼい企画で構いません! 彼ならなんとでも料理します!

有名俳優も要りません!
監督ではなく、未来のスターに投資すると思ってください!
どうか! どうかスティーヴンに適当な金と適当な企画をお願いします!