前世戦士の映画日誌

前世が戦士らしい女が映画を観て色々吐き出します 生態日誌です

『モータルコンバット』真田広之がカッコいい、それが全て(ネタバレしてるかもしれない)

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私がTwitterでフォローしている映画好きの皆さんは、このところ『モータルコンバット』で盛り上がってます。私はほとんどゲームをやらないので元ネタはよく知らないのですが、残酷描写が満載、かつ、真田広之が出てると来れば、観ないわけにはいきません。

世界的人気を誇る対戦型格闘ゲームで、1995年にも一度映画化されている「モータルコンバット」を、新たに実写映画化。胸にドラゴンの形をしたアザを持つ総合格闘技選手コール・ヤングは、自身の生い立ちを知らないまま、金を稼ぐために戦う日々を送っていた。そんなある日、魔界の皇帝シャン・ツンがコールを倒すため、最強の刺客サブ・ゼロを送り込む。コールは特殊部隊少佐ジャックスに言われるがまま女戦士ソニア・ブレイドと合流し、地球の守護者ライデンの寺院へ向かう。そこでコールは、太古より繰り広げられてきた格闘トーナメント「モータルコンバット」の存在と、自分が魔界の敵と戦うために選ばれた戦士であることを知る。主人公コール役に「デッドプール2」のルイス・タン、女戦士ソニア役に「MEG ザ・モンスター」のジェシカ・マクナミー。日本からも真田広之浅野忠信が参加し、重要キャラクターのスコーピオンとライデンをそれぞれ演じる。(映画.comより

正直にいえば、映画そのものについては、物足りなかった。だってせっかくの15禁映画なのに、大したゴア描写もなく終わってしまい。
場内明るくなったとき思わず、「えっ、これだけ!?」って声が出そうになっちゃったよ……。

……だってだってだってだって!(子供か)

原作ゲームで有名な、噂の頭を脊髄ごと引っこ抜くヤツ、めっちゃ期待してたのよ!!(ゲームしないのにそういう情報だけは持っている)
あのね、ホントに心底から、心のド底辺から期待してたのよ!

なのに、ゴアっぽいご死体様は、4体だけ!
4体だけって!
4体だけって!

すみません、ちょっと錯乱してます、落ち着きます。

アクションは全般的に良かったんですけどね。期待してたのがそこじゃなかったもんですから。
確かに残酷描写はあったけど、そこに不謹慎さがない。いけないことが起きてる感がない。人類側は思っていたほどひどい目にあってないし。

魔物が臓物撒き散らしたところで、別に残酷って特に思わない、です、よ、ねえ……?それとも私の求めるものが、方向性間違ってるんでしょうか。

 

……が!ハンゾウを演じた真田広之には大満足!!!!!

影の軍団*1以来40年以上、つまり子供の頃からわたくし、「理想のタイプは真田広之を貫いてきました。
真田広之に限り、役者としてのファンではなく、純粋に顔と体と身体能力が男性として直球ド真ん中の好みなんです、はい。
どれぐらい好みかっていうと、全く興味のないドラマ『高校教師』*2だって観ましたからね。毎週、真田広之が観られるから、というだけの理由で。もちろん内容は覚えてない。

え? だから結婚できないって?
違います、妥協したから、元カレどもは揃いも揃ってダメンズばっかりなんです。
やっぱりね、人間後ろ向きの妥協はあかんです。それで結果、独りで生きてくはめになるのなら、それならそれでよし。
少なくとも別れ話がこじれた末に、車から飛び降りて逃げる必要はない(徐行速度です)。

それはともかく、やっぱりアクションあってこその真田広之。久々に大満足、冒頭10分と終盤10分だけで、万馬券当たったような気がしています。

いやこれ、監督、真田広之が撮りたかっただけなんじゃないの?
どう考えても、真田広之の出てるシーンだけ、完成度が異様に高過ぎやないですか。
カッコいい真田広之をよりかっこよく撮るためにどうすればいいのか、その為だけに絶対何度もミーティングして金もぶちこんでるだろ?

ご存知の通り、真田広之はほぼ完全に活動の軸足をアメリカに置いています。もう長いこと、海外エンタメでしか会えない男です。
この映画を観ていると、日本のエンタメには真田広之を生かせる世界がないなと思います。
過去作を見れば、アクションだけでなく、正統派のドラマからコメディまで、演技の幅が広いことは一目瞭然。
でも、一番しっくりくるのは、派手で大袈裟な演出、現実とかけはなれた世界、そんなヤツいねーよ!と突っ込みたくなるキャラクター。並みの役者なら、ただのオーバーアクトになって「うぜぇ」と思わず声に出してしまうのが常の私。

でも真田広之は、どんなあり得ないキャラクターでも、何の違和感なく「カッコ良く」存在できるナチュラル・ボーン・歌舞伎男なのです!!

スピード・レーサー*3とか、そうじゃないですか。あの演出は大失敗だと思うのだけど、浮きまくった役者たちの中で、真田広之だけは妙に現実感を伴って存在しいた。いや、あの派手でワケわからん演出に一切飲まれないのですよ。

そんな人ですから、いまのアメコミ流行りの映画に本当によく似合う。演出も合うんだと思います。

日本でマンガを原作にアメコミみたいな映画を作ると、正直、演出がいかにもマンガから脱却できずにマンガっぽさが残りすぎて苦手です。
それに中心人物の設定がティーンの場合が多く、洋の東西問わず、青春というキーワードに1ミリも興味が持てないため、観ても内容がまったく頭に入らないってこともあります。

マンガもいいんだけどさ、日本には狂った小説も多いんですよ。もう誰も『魔界転生*4みたいな映画、作ってくんない。『帝都物語*5みたいなのでもいい。
ああ、若き日には『幻魔大戦*6や『妖星伝』*7や『神州纐纈城』*8が実写でみられる日がこないかなあと思ってましたが、こないんだろうなあああああああ。
その全ての世界観に、真田広之は似合うんだけどなあああ。

千葉新一の生み出した最高に二枚目でカッコいいキテレツ役者を、日本は結局活かせなかった。
思えば、真田広之が日本映画から去った頃から、私が邦画を観る頻度は激減しました(もともと多くはなかったが)。何かがシンクロしているのかもしれません。

 

……えー、自分でも何の話をしているのかまったくわからなくなってきました。
真田広之が桁外れにカッコ良すぎて、自分が何を観たのか映画自体はすでに内容はボヤけております。
ただただ真田広之だけが、真田広之史上最高を更新したアクションと存在感で、脳内リピートされています。
でもそれでこの映画としては十分じゃないかと思います。
続編求む!
もちろん真田広之だしてね!

*1:千葉真一と彼の率いるジャパン・アクション・クラブ(JAC)というアクション俳優やスタントマン・スタントウーマン育成軍団による、80年代のトンデモ忍者時代劇ドラマ。私の中では影の軍団JAC真田広之JAC所属で『影の軍団Ⅱ』から登場。

*2:高校教師が生徒どどーかなる話だったような気がする

*3:日本のアニメ『マッハGoGoGO』を原作に作った映画。『マトリックス』という超ド級ヒット映画を産んだウォシャウスキー姉妹が作ったのに、彼女たちの原作アニメへの思い入れが強すぎて、観てるこっちはどう接してあげればいいのかわからない映画になっている。

*4:日本が誇る伝奇小説作家 山田風太郎の超代表作を原作に、深作欣二が監督、主演は千葉真一という、賭けてもいいが世界一すげー暴力とエロと毒々しい美にあふれた時代劇映画。沢田研二真田広之のキスシーンがある。ああ、深作欣二が恋しい。

*5:荒俣宏という伝奇・SFの歩く宇宙みたいな作家による、明治末期以降の日本を舞台に怨霊や陰陽師や出てくる小説が原作。監督がこれまたSF・伝奇物に造形とこだわり深すぎの実相寺昭雄。ああ、実相寺昭雄も鬼籍に入ってるんだよなあ。

*6:SF作家 平井和正の超能力者と幻魔が戦う話。石森章太郎との漫画共著が元で、ノベライズのはずが世界観が広がりすぎて途中からもうなんかよくわからなくなってくるが、とにかくすごいんだよ!アニメ映画はあるけど実写でも観てみたいんだよ!

*7:SF作家 半村良による、エロと超能力と忍者と宇宙人と、とにかく全てぶっこんだトンデモ小説。『戦国自衛隊』は映画化されてるけど、誰もこの作品の映像化に挑戦してくれない。映像化すれば最低でも15禁案件と思われる。

*8:気づけばもう100年くらい前に書かれた、伝奇作家 国枝史郎による戦国時代を舞台にした、とにかく悲惨で狂ってる小説。途中でストーリー展開がよくわからなくなる上に未完で、それもよりによってそこでかよ!と、あの世に向かって抗議運動したいぐらいのところでぶっつり終了。